夏にお腹がすくとキッチンの棚には、「うどん、そうめん、そば、何があったかな?」ということから、作るものを考えてしまう。
目が覚めて今日の気温をチェックする。自分の平熱を越えるなんてことが発覚した。今日は、なるべくキッチンで火を使いたくないとなる。そうなると自然と茹で時間の短いそうめんに手が伸びるだ。
そうめんは、ただ茹でて、めんつゆにつければ美味しいから、夏の強い味方である。ただ、飽きるということではないけど、それだと芸がない。一食ごときに、ああでもないここでもないと布団の中で考える。うだうだと悩んでいるうちに「芸とは何だ?」、飯とはかけ離れたことが気になり出す。
辞書を引いてみる。「芸=修練して身につけた技能。学問。技術。わざ。」とのこと。なるほど、そうめんの修練を毎年繰り返してきた僕だからこそできるアプローチはなんなのか考えてみよう。
結果は「つゆではなく、麺にアレンジを加えてみよう」となった。こうして生まれたのが、シトラスそうめん。
やはり人生にも美味しいにも近道などない。考えて行動した人のみがそれを謳歌できるのだ。とはいえ、レシピは簡単なので、心配無用である。
まずは、レモンをよく洗って、水気を拭き取り、皮をすりおろし、果肉は搾っておく。それをボウルに入れて、ゆずこしょう、オリーブオイル、氷をひとかけ落とし、スプーンでよく混ぜる。
鍋に湯を沸かし、そうめんを入れて茹でる。茹で上がったら、ザルにあげて、流水でしっかりと洗う。あら熱が取れたら、新しい水と氷をざばっと入れて、手が凍りそうなるまでかき混ぜ、そのまま一分ほど冷水に浸けておく。これをするだけで、麺のコシが出て、つるっとした喉越しになるので、絶対にやってほしい。
ザルにあげて、優しく手のひらでそうめんを押し、水気をしっかり切る。
最初に作ったシトラスオイルの中に入れてよく混ぜ、器に盛り付けて、レモンの皮をふる。
めんつゆを用意して、いざ実食。
箸でレモンをまとったそうめんをすくいあげ、麺の半分程度をつゆにつけ、一気にすする。
口の中に広がるのは、もちろん大好きな出汁の香りとレモン、オリーブの青臭さ、そしてゆずこしょうの辛味。
この喉越しは、真夏にクーラーの効いた部屋のドアを開けたときの爽快感とよく似ている。
材料(ふたり分)
・レモン………………1/2個
・ゆずこしょう………小さじ1
・オリーブオイル……大さじ2
・氷……………………ひとかけ
・そうめん……………3〜4束
・めんつゆ………………適量