秋には栗が食べたい。
そうなるとせっせと鬼皮を剥いて栗ご飯を作る。
数年前から、黒こしょうを効かせた栗とベーコンのパエリアなんかも作るようになった。
「美味しい、じゅうぶん美味しい」とはいえ晩酌に最高の肴という感じではない。
せっかくなので秋の夜長に、お酒を傾けながら楽しむ栗料理を作りたくなった。
まずは、鍋に牛すじを入れて、ひと煮たちさせ、そのまま二分ほど茹でる。
軽く火を通すだけで、余分な脂は落ちるし、切りやすくなる。
それをザルにあげて、ひとくち大に切り、しょうがの薄切りと、長ねぎの輪切りと一緒に鍋に戻す。
新しい水を注ぎ、ひと煮たちさせたらアクをすくって、蓋をして弱火で二時間ほどコトコト煮込む。
牛すじを煮ている間に栗の下準備をする。ボウルに栗を入れて、熱湯をたっぷり注ぎ、そのまま五分おく。
まな板に栗を置いて、栗のおしりに包丁で切り込みを入れ、鬼皮を剥く。
包丁で渋皮も剥く。
栗は硬いので、手を切らないように注意が必要だし、慣れないうちは時間もかかる。ただ、その美味しさを考えると妥当な苦労だと思っている。
ここまで来れば、この料理の八割は終わったので一安心だ。
牛すじを煮ている鍋に隠し味の赤ワインと砂糖を入れる。
ふわっと立ち上がる湯気と、グツグツと湧き立つ煮汁の向こうで、二時間煮込まれた牛すじが、ほどよく緩んでいる。
そこに栗としょうゆを加え、落とし蓋をしたら、火加減を弱火と中火の間にして、二五分ほど煮詰めていく。
途中で、煮汁の様子を伺いながら、鍋の中を木べらで回してあげるとムラなく煮える。
栗の色が濃くなり、煮詰まった煮汁の艶をまとったところで出来上がり。
合わせるお酒は、隠し味に使った赤ワイン。それに似合うように洋皿に牛すじと栗の煮物を盛り付ける。
牛すじを口に放り込み、すぐに栗を放り込む、ほふほふと息を逃しながら食べる。
牛すじのうま味を吸った甘い栗が肌寒い日にちょうどいい。
たまに黒こしょうをかけて味を変えても美味しい。
これは僕の「秋の定番」になりそうだ。
材料 2〜3人分
牛すじ 350g
しょうが 1かけ(薄切り)
栗 400g
長ねぎ (輪切り)
水 1200㎖
赤ワイン 大さじ4
砂糖 大さじ4
しょうゆ 大さじ4
黒こしょう 少々